2012年に向けた発展途上な頭の中


ハバタクの丑田です。
かなり遅めの、あけましておめでとうございます。
1月ということで、頭の中にあることをざざっと文字にしてみました。
(執筆していたら筆がノッてしまい、大変長文になってしまいました・・・)

◆圧倒的な原体験の圧倒的なパワー

ハバタクを創業して1年4ヶ月、教育現場や海外等で活動し、多くの人びとと出会う中で、自分の視野がぐぐーっと拡張していくのを実感しています。
まだまだ日々精進していかなきゃいけませんが。

ハバタクの創業のキッカケは、前職でグローバル戦略のコンサルタントとして活動する中での原体験にありました。

グローバル化・情報技術の進展により、企業の地球規模での経営資源の最適化、世界のフラット化が進む
⇒何らかの付加価値がないと賃金の大収斂・自動化の波に呑まれる。先進国の雇用も減る
⇒暗記・偏差値型の教育から探究・共創型の教育への転換 / グローバルな原体験が重要となってくるのではないか?

といった相関です。
主に「大企業」「ビジネス」という文脈から物事を考え始めました。
これは今でも問題意識の中核にあるのですが、当時は予想もしていなかったほどに、多くの出会いと体験を経て、思考が広がっていった、という話を、1年数か月を振り返りながら書こうと思います。

◆「いかに教育現場の中に探究・共創の要素を取り入れていくか?」

まず始めに、「いかに教育現場の中に探究・共創の要素を取り入れていくか?」という問いに取り組み始めました。

神戸の六甲山にある「探究型学習」で先駆的なラーンネット・グローバルスクールや、国際バカロレア(IB)のカリキュラム、創業前にデンマークで訪れた数々の学校、みんつく工房という「共創」をテーマとする研究会から学んだ知見も踏まえながら、

・企業や地域を巻き込んだプロジェクト型学習プログラム
・未来を描くビジョニングワークショップ

を中・高・大学の授業として、手掛け始めました。
B2Bビジネスの世界で生きてきた自分にとって、学校の先生や生徒と接し、一緒に創っていく、という体験は、多くの斬新な刺激を与えてくれました。
志高い多くの先生方との出会いも、未来への希望と自信になりました。

同時に、今まで暗黙に前提としていた「思考の枠」も取り払われていきました。

(1)学校の中だけが学びの場ではなく、先生が全ての役務・責任を担うことが全てではない。社会全体の視点から解決していくこと。一人ひとりが深く思考・対話し、小さくてもアクションすることが重要。

全てを学校の中・先生の対応範囲内で解決しようとすると、先生の忙しさ、スキル、予算、授業の枠、生徒間の平等性、といった要因が複合的に絡んでくることで、中々前に進まなくなってしまう場合があります。

そこで、「先生以外の力もふんだんに活かしていく」という視点を持つ。
「カタリバ」さんの取り組みは本当に素敵ですし、ハバタクの取り組んでいる企業や地域を巻き込む授業、というのも一つのやり方です。例えば、英語やITも、過去に長く海外勤務されていたネイティブレベルの地域の年配の方や、ビジネスのフィールドで日々ITやソーシャルメディアに触れている方が先生を手助けする、といった考え方もありです。

また「学校以外の時間で学ぶ」というのも十分に可能で、弊社もコラボレーションさせてもらっている「プレカレッジLit」さんは、図書館を社会教育の場と捉え、社会人・大学生・高校生の白熱教室を展開しています。
ソーシャルラーニングを提唱する「iUniv」さんは、良質な授業を動画アーカイブにし、インターネットを通じていつでも学べる環境をつくっています。
僕が委員として活動している「ギャップイヤー」の考え方も、個々人が学び・原体験を積む時間をいかに社会が許容するか、という部分が本質です。

このように、「社会全体の視点から解決していくこと」や、先生や教育関係者のみでなく、「一人ひとりが深く思考・対話し、小さくてもアクションすること」で、ものすごいインパクトを生み出せると思います。

(2)「ビジネスモデル」「資本主義」という観点を超えた取り組みも

教育の現場においては、「ビジネスモデル」とか「資本主義」のルールを超えて物事を考える、ことの重要性も感じました。(無論、儲けることへの批判、という意味ではないし、持続性・拡張性の視点も重要です。)

既存のルールの枠を超えて、行政もNPOも、ビジネス・資本主義の中での再分配以外の文脈も、ごちゃまぜに巻き込んで創っていくと、視点も発想の幅も広がるし、結果的に社会へのインパクトも広がっていく、と感じています。

東葛飾高校の福島毅先生が年間を通して行っている、地域の社会人を教師や参加者として招くリベラルアーツ教室は、「ここでめちゃくちゃ儲けよう」という視点では成り立たないけれど、年間数十回もの持続可能性を持った取り組みとなっている。「自分のまちの教育に貢献するのが嬉しい」とか「そこでの経験や繋がりが楽しく、自分自身を成長させる」とか、こういった「精神的な豊かさ・生きがい」となる活動も、十分に持続的な側面を持っているのだと思うのです。

分野はズレますが、僕が8年前に立ち上げから携わることができた「プラットフォームサービス株式会社」も、このような考え方のもとに生まれました。千代田区の公共施設に民間の知恵を取り入れ、財政への貢献、地域をより良くする場として生まれ変わらせるプロジェクトです。
NPOへの出資規制(一定以上の資金を集めにくい)や、意思決定の迅速性の観点から、株式会社という形態をとったのですが、その中で「非営利型株式会社」という形をつくりました。「利益を最大化し、配当を限りなく高める」という目的ではなく、配当の一定目標は持ちつつも、「共に千代田区を盛り上げていこうという想いに共感」していただいた方々からの出資を募ることで、資金と知恵が集まり、無事に動き出しました。想いや志が、共感・共鳴・協働を生み出し、社会をより良い方向に変えていくことを体感した原体験でした。

このような視点が、今年取り組もうとしている「クロスボーダー・パトロンプラットフォーム」(後述)の中にも活きてきています。

さらに、ハバタクだけでできることは限られているし、知恵も足りない、ということで、今年1月より、多年代・多業種・多分野の方々と新しい学びの形を議論し、実現していく場として「Education3.0 Project」を発足し、活動を加速していく予定です。

◆「グローバルな原体験をいかに増やすか?」

次に、「グローバルな原体験をいかに増やすか?」という問いを考えるべく、海外、特に成長著しい新興国・多くの社会問題を抱えるBOPの国々に足を運びました。

各国現地では、RCF藤沢烈さんとの会話の中で学んだ「和僑」というキーワードを体現する、魅力的な方々との出会いがありました。現地に住んで学び・働いたり、国境を越えて世界中の方々と共に成長していく、こんな生き方が増えて行ったらいいなぁと、旅をする中で強く思いました。

早速、世界にハバタク冒険者を増やす「和僑プロジェクト」を6月にキックオフし、第一弾「Co-Creation Journey in Vietnam」をみんつく工房で出会った仲間とリリースしました。
「現地の人びとと共に、新興国でビジネスを創る」をテーマに、LEGO SERIOUS PLAY
MethodやU理論をもとにした共創アプローチを駆使した1週間の旅です。

成長著しく、親日・勤勉で日本人との共創にも親和性が高く、かつ現地に住み活躍する川村泰裕さんという同世代の信頼できるパートナーがいたことから、ベトナムでの開催と決めました。

このような初めての試みに参画いただいた日本・ベトナム両国の皆様には、本当に感謝が尽きません。旅を終えて、参加者の皆様から既に複数の取り組みが実行され始めていること、そして何より一生ものの仲間が国境を越えてできたことも、「とにかくやって良かった」と思う嬉しさとなりました。

Co-Creation Journeyやアジアでの活動を行う中で、当たり前のように見えて衝撃的な学びもありました。

(1)新興国、BOP、先進国で生まれ育った人間では、お互いに持っている視点と持っていない視点がある。ここに、共に成長する余地があるし、所謂「よそ者・若者・バカ者」の役割も生まれてくる。

例えば、新興国で生まれ育った人々は、将来に希望を持ってアグレッシブに勉強・仕事をしながら、経済的な豊かさをより増やしていこうと前に進んでいる。一方、先進国で生まれ育った自分達は、経済的な豊かさの発展はゆるやかになりつつありながらも、先進国ならではの課題意識、サステイナビリティ・足るを知るといった視点、精神的な豊かさの追求、といったものを持っていたりする。(もちろん、全ての人がそう分類される、ということではありません)

この間には、ほぼ確実と言っていいほどお互いに学べることがある。それも、「人件費が安いから」とか「お金を持っているから」、という関係性よりもぐっと踏み込んで、「同じ釜の飯を食べた仲間」「個人名対個人名の付き合い」の中で、その学びは深まっていくのだと思います。後者の間柄では、ビジネス的にもめったにだまされないはず。

世界に出る和僑が、世界中から色んな視点や豊かさを学びながらも、同時に自らが与えていくような存在であったらいいなぁ、と思っています。そして、それが「よそ者・若者・バカ者」ならではの役割なのだと感じます。

友人のクレイジー経営者・グランマ本村拓人さんが熱く語る「貧困の撲滅のためには、途上国の人々の「自尊心」と「イマジネーション」を育む必要がある」という話もとびきり大きな気付きを与えてくれました。これは先進国においても同種の問題があるのではないかと思っており、日本人・現地人がお互いに「自尊心」と「イマジネーション」を育みながら、より良いSustainableな未来を共創していく、というのが、実現していきたい大きなテーマになってきています。

(2)多彩な仲間と、共通の体験を共有し、共に創るのって純粋に楽しいし幸せ(しかも国境・分野・年代を越えて)

Co-Creation Journeyの企画をして、準備をして、実行する過程は、「純粋に楽しい!」と思える時間でした。学校の文化祭で仲間と何かをやるのって、めちゃくちゃ楽しかった、という方もいるのではないでしょうか。まさにそんな感覚。仕事と遊び、って二項対立で語られたりするけれど、これは混ざってもいいな、と思える体験でした。
LEGO SERIOUS PLAYの名称も、まさにSERIOUSな問題をPLAYしながら解決していこう、
という意思が盛り込まれています。PLAYが楽しい、という感情は世界共通で、色々な壁を乗り越える可能性を秘めています。

また、IT・ソーシャルメディアの発展を受けて、世界中の人々と出会い、共に過ごし、学び、仕事ができやすくなった昨今、なんて素晴らしい時代を生きているんだとしみじみ思ったりもします。

そして、「世界に出た日本人に何ができるのか?」「現地の方々と一緒にどんな未来を創っていくことができるか?」という問いに自ら体当たりしていくべく、12月にホーチミン市に、ベトナム+メコン地域をカバーする拠点をつくりました。「見る前に跳べ!」というモットーの言葉通り現地に飛び込んでいってくれた創業メンバーの小原には、身内ながら感謝。今年、メコン地域を駆け回る中で何が見えてくるのか、ものすごく楽しみです。

◆今年取り組んでいきたいこと

そんなこんなで今年もやってみたいテーマがとにかく多いのですが、欲張りにいこう、ということで、まずは羅列してみました。

・世界に羽ばたく人をもっと増やす
– Co-Creation Journeyの個人・企業向け提供、ビジネスインキュベーション
– 大学生を中心に、新興国インターンシップの展開
– アジア各国の大学への進学の支援、オープンキャンパスJourney開催
– ギャップイヤー文化の普及に向けた活動のさらなる展開

・世界に飛び出した日本人(よそ者、若者、バカ者…)と現地の人達との共創(Co-Creation)を加速する
– ベトナム・メコン地域での企業向け共創コンサルティング(日本人と現地人との共創を後押しする)
– (国内でも、組織内に共創のDNAを企業に根付かせていく「共創コンサルティング」のさらなる展開)
– 新興国・途上国発のアイデアを花開かせていく「ソーシャルファンド」構築(JICA主導)

・クロスボーダー・パトロンプラットフォームの推進
-一人ひとりの挑戦を、世代を越えて共感する皆でファンになり、応援するプラットフォームの展開。
BADO!須子さんNomad Project成瀬さんとのコラボレーションで実現。
(例えば、若者のチャレンジを、地元の年配の方々で応援する。お金だけじゃなく、人・モノ・情報・機会など色んな角度から後押しする)
-その第一弾として、各都道府県から世界に挑戦する若者を募集し、県単位でファンになり応援する「47キャンペーン」の実施

・Educaton3.0 Projectの推進
1/28(土)のEducation3.0 Conferenceを皮切りに、分野を超えた多彩な仲間と知恵を出し合い、具体的な行動を増やしていく
– 教育の現場にしっかりと身を置き、引き続き、「探究」と「共創」を軸とした授業を開発・実践する
(例: ベトナムと日本の「国境を越えた共創」授業、Ustreamなどソーシャルメディアを活用して探究を進める授業)

昨年がそうであったように、日々の活動や出会いの中での気付き・アイデアが膨大なため、この一覧も結構なスピードで進化していくと思います。

今年も刺激的な年になりそうです。
何か引っかかったキーワードなどございましたら、どしどしご連絡いただけたら嬉しいです。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

丑田俊輔

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