やわらかい日差しに、風に運ばれてくるキンモクセイの香り・・久しぶりに帰国し、日本の秋を全身でたっぷり吸いこんでいます。年がら年中暑く、バイクのエンジン音が響き渡るホーチミンに居ると、四季のある日本の良さを強く感じます。
さて、本稿はハバタク3人が共通のテーマでブログを書くシリーズ10月版。読書の秋、ということで、3人それぞれのオススメ本をご紹介します。
僕が紹介するのはマンガ「サンクチュアリ」です。
マンガ?と侮るなかれ。この本はハバタクメンバーにとっての生き方のバイブルであり、何度読み返しても学びが多い本です。ハバタクに関わってくれる学生さんにも、ハバタク課題図書として強く勧めています。
ポルポト政権下のカンボジア。筆舌に尽くしがたい凄惨な行為が日常化していました。親の仕事でカンボジアに暮らしていた主人公の二人。ある日家族をクメールルージュに奪われ、強制労働に就かされます。周りで仲間たちが次々と死んでいくなか、泥水をすすり、ネズミでもなんでも口に入るものは手に入れて生き伸びてきました。
彼らにとって「生きる」とは、毎日否が応でも向き合わねばならない現実だったのです。
そんな地獄を生き抜いてきた彼らが日本に帰国して感じたものは「憤り」でした。
彼やそして仲間たちが毎日必死の思いで掴んできた生を、何の疑問もなく、何の感謝もなく当たり前のように享受している日本人。明日がやってくることが当たり前の日本。
「生きる」ことを真剣に考えられなくなった国に未来はない。自分たちが想い描いていた聖域(サンクチュアリ)は自ら創るしかない。
こうして、一人は表の世界(政治)、一人は裏の世界(やくざ)に飛び込み、既存勢力とぶつかりながら、情熱を持ち続け、時にはしたたかに、またある時は力を駆使し、そして何より多くの仲間たちと共に、駆け上がっていく物語です。
圧倒的な原体験と内発的動機
彼らが選択した道は決して生半可なモノではありません。
海千山千の政界の重鎮や、やくざの一大勢力が立ちはだかります。どんな逆境でも彼らは足を止めることはしません。むしろ、逆境であればあるほど彼らは滾る(たぎる)のです。
内側からほとばしるエネルギーは抑える事は出来ません。
この本を読む度に、お前は本当は何がしたいんだ?お前にとっての聖域(サンクチュアリ)はなんだ?と問いかけられている気がします。
そうした内発的動機には必ず原体験があります。
彼らのような苛烈な体験でなくとも、自分自身の志の原点に何かしらのきっかけがあると思います。もちろん我々ハバタクにも。
ハバタクは出来るだけ多くの「圧倒的な原体験」の場を創り、世界に羽ばたく冒険者のきっかけづくりをしていきたいと思っています。
背中を預けられるパートナー
主人公の北条と浅見。共通のサンクチュアリを目指し、別々の道を歩む二人。
しびれるような毎日を全力で駆け抜けていけるのは、共に相手を信頼しているからです。
それぞれの道を突き進めば、自ずとサンクチュアリに近づいている。
「あいつが戦っているのに俺一人が寝ていられない」と互いが互いを鼓舞しています。
日本・ベトナムそれぞれの地で、互いが背中を預けながら走っていく。
ハバタクメンバーもそんな関係であり続けたいと思うのです。
漢に惚れられる漢
主人公の二人以外にも、作中には数々の熱くてかっこいい漢(おとこ)達が登場します。
いずれも主人公の二人の漢に惚れてしまったものばかり。
高い志を持って言い訳せずにまっすぐ走る二人に、みんな次々と惹きこまれていきます。
“いい大人”が大声で吠え、涙を流し、夢の実現にむけてひた走る姿はとてもカッコいいのです。
筋を通して、自らの行動で道を示していく。
スマートである必要はなく、泥臭く実直であることが重要なのだと学びました。
僕は今年で30になりました。
このサイゴンの地で「漢に惚れられる漢」になりたいと強く思います。
・・とこんな熱い漢たちの物語を皆さん一度手に取ってみてください。きっと、滾るものがあるはず!
最後に大好きなセリフを一つ。
「人の一生、そんなに長くはないぜ!」