こんにちは、長井です。
すっかり年の瀬ですね。
私個人としてはまだまだ年が終わる実感がないのですが…
あれもこれも、やりたいことは山ほどあるのですが、時間は残酷です。
さて今回は、「○○・オブ・ザ・イヤー」企画の一環でもあるので、今年を振り返ってもっとも○○だったことに絡めて記事を書いてみようと思います。
振り返ってみると、今年も仕事であちこちの国を訪れることができましたが、「同じ月のなかで北欧から赤道近くまで移動した」というのは個人的に初の体験だったので面白かったですね。具体的には10月の出張でスウェーデン(ストックホルム、北緯約60度)→スリランカ(コロンボ、北緯6.5度)です。気温差は最大で35度くらいありました。
というわけでどちらの国も語りたいのですが、今回は今年訪問した、もっともユニークな教育機関というテーマでスウェーデンはストックホルムについて書いてみようと思います。
「持たない」教育を実践するスウェーデン
ストックホルムを訪れたのはクライアント企業さん(介護事業)にディープな視察旅行を提供するためだったのですが、その傍ら教育現場を見に行くために時間を捻出し、念願の”Hyper Island”にアポを取ることができました。
先生もカリキュラムもない
Webや映像を中心としたクリエイティブ人材のためのスクールであるHyper Island。ここスウェーデンが発祥の地で、いまは欧米に数カ所の拠点をもっています。その他、ちょうど私が訪れたタイミングでシンガポール校の開設が正式アナウンスされました。
この学校については書きたいことがたくさんありますが、ポイントを絞ると以下のような点です。
- 自身でカリキュラムを持たない。先生もいない。プログラムはすべて協力企業に提供してもらう。
- プログラムといっても座学はほとんどなく、協力企業のお題を解決するプロジェクト形式が主。
- さらに、プログラムの約40%が協力企業でのインターンシップで構成されており、実践を重視した内容になっている。
- 結果として卒業生の98%が卒業後半年で職を得ている。主な就職先はクリエイティブエージェンシーや最先端の知見を欲する大手企業など。
教室をもたない
「持たない」というキーワードつながりでいくと、”Vittra“というスウェーデンの私立学校のチェーンも今年SNSを賑わせました。こんな画像とともに、Oops! Studyさんの紹介記事をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
この写真はVittraのTelefonplan校で、「クラスルームフリー」を掲げてユニークな学びのデザインを実践しているところです。文字通り教室を一切持たない構造をあえて導入し、「子供たちの好奇心や創造性を刺激し、子供たちにコラボレーションの場と個人作業の場を同時に提供すること」を狙いとしています。また従来の学年の概念も廃して、進度別のワーキングチーム制を取り入れているとのこと。とても斬新です。
Vittraも今回の出張で訪問したい学校の1つだったのですが、アポイントの日程が合わず、泣く泣く諦めていました。しかし実はHyper Islandのストックホルム校と同じ駅にあるということが訪問中に発覚したため、急遽外観だけでもカメラに収めることに。
次回スウェーデンを訪れる際には一番に訪問したいと心に固く誓ったのでした。興味のある方、ぜひ一緒に行きましょう。
戦略とは捨てることである、は教育にも当てはまる?
「戦略とは捨てることである」。こんな言葉をしばしば目にします。企業の戦略であれ、国の政策であれ、学びの場作りであれ、この考え方はより重要になってきているのではないかと思うようになりました。
少なくとも先進国と呼ばれる国々では、いろいろなリソースが社会のなかに豊かに揃っています。エンドユーザーはつい「あるかないかで言えば、あったほうが良い」という判断のしかたをするがゆえに、サービスも過剰になりがちです。
しかし、資源は有限です。いつか主体どうしが機能を重複させ、その優劣をめぐって闘うためにさらにエネルギーを消費するでしょう。それはいまの時代に求められなくなってきている気がします。
むしろ「持たない・やらない」ことを明確にすることで自身の外側にあるリソースと積極的につながり、お互いの得意分野を活かし合うような共生モデルが必要になってくるのでしょう。この点はオトナの組織が活動していくうえでも、子どもが身に付けるべきリテラシーという意味でも、共通していると考えています。
振り返ってみると、この1年は、ハバタクも少しずつ「できること」が広がってきた反面、「やれるならやったほうがいいよね」という誘惑と闘いながら「何をやらないか」を考えてきた1年でもあったように思います。
来年もよりユニークに、学びへのインパクトに貢献できる存在を目指していきます。よろしくお願いいたします!
注記)あえてキャッチーなタイトルを付けましたが、スウェーデンの学校すべてが今回紹介したような振り切れた教育を実践しているわけではないことを、念のため申し上げておきます。より詳しい話に興味のある方は、個別にご連絡くださいませ。