ボストンツアーを企画した経緯:国境を越える学びをより若い時期に
ハバタクではこれまで、国内の教育機関向けに新しい学びのエッセンスを提供する”Education 3.0 Project“と、国外での若者の活躍の舞台を提供する”和僑プロジェクト“の2つを大きな柱として活動してきました。
それ自体は順調に進行しているわけですが、どうしても前者と後者では年齢層がわかれてしまいがちで、「今後の新しいロールモデル=和僑を育て、若者に新しい将来選択のオプションを提供する」という全体のストーリーにミッシング・リンクが存在するのではないか、という議論になってきたわけです。
つまり、「学生時点で海外に飛び出しちゃう選択肢だってあるんだよ」というメッセージをもっと前面に押し出した企画を創りたい。その可能性を圧倒的な体験として感じてもらう舞台を用意したいと思うようになりました。
理系女子=リケジョを世界とつなげる
とはいえ、日本の学生さんといっても分野も年代も様々です。前述のような経験を提供する第一弾として象徴的な人たちはどこにいるのだろうか?と模索していたところ、「理系女子」に行き当たりました。
一応前もって表明しておくと、私は「理系女子」というセグメントのしかたが好きなわけではありません。そもそも文系・理系という分けかた自体、最近の学際的なトレンドを見ているとますます意味が薄くなってきていると感じますし、欧米では人文科学・社会科学・自然科学の三分法が一般的で、多かれ少なかれ「科学」的態度が必要とされるという認識でもあります。
ただ日本の教育の現状をみていると、理系に分類される分野に興味をもつ女子学生は少数派で、それがゆえにロールモデルが少なく、キャリア形成に困難を感じているケースが少なくなく、目の前の問題として見逃せないと考えています。それに加えて保護者世代の「常識」からすると、例えば「理系なんて選んで、ちゃんと結婚できるの?」というような不安をもつが故に娘の探究心を鈍らせるようなシーンもあると聞き、世代間ギャップの問題としても典型的なものを感じていました。
それに対して、世界には多くのロールモデルが存在し、また国籍を問わず優秀な理系女子をもとめる舞台が大学にも企業にも存在します。本来は実に豊かな未来が拓けているはずの日本の理系女子たちは、純粋に「知らない・見たことない・体験したことない」というだけでその可能性を閉じてしまっているのです。最大のボトルネックは、もしかしてここなのではないか、と思いました。日本の理系女子たちに世界最先端の研究とロールモデルに触れてもらう非日常体験を提供することで、彼女たちの将来の選択肢を一気に広げること。それは副次的に学習へのモチベーション向上や、一生モノの仲間を得ることにもつながるはずです。
日本最大の理系女子コミュニティとのコラボレーション
日本の理系女子が集まっているコミュニティといえば、講談社さんの”Rikejo“です。現時点で16,000人以上の中学生〜大学生の理系女子を擁しており、ロールモデルの提供をミッションに会員誌やWEB、イベント等のサービス展開をしています。以前より一緒に仕事をさせていただいていますが、今回いよいよグローバル企画でコラボできるかもしれないということで、実はかなり前から社内の議題として上げさせていただき、機会を窺っていました。
大学の街ボストンにdeep diveする
そのようなことを考えて試行錯誤するうち、STEM教育(科学技術教育)実践の第一人者である石原正雄氏を通じてタフツ大学の工学教育プログラムの紹介がありました。研究大学として名高いタフツ大学のCEEO(Center for Engineering Education and Outreach)のは世界でもユニークな工学×教育の研究機関であり、子どもから大人まで幅広く「作って学ぶ」意義や楽しさを発信しています。アメリカはもともと理系女子教育の先進国でもあり、日本の理系女子を連れて行くにはもってこいの環境でした。
そこで、石原氏にコーディネーターをお願いしてさらに大学および科学・文化に触れる体験を重層的に組み合わせ、出来上がったのが今回のプログラムなのです。
訪問した大学
- タフツ大学(Tufts University)
- マサチューセッツ工科大学(MIT)
- ハーバード大学(Harvard University)
訪問した施設
- ボストン科学技術博物館
- ボストン美術館
交流・会談した人々
- Chris Rogers教授はじめ、タフツ大学CEEOの研究者・大学生
- ワークに参加してくれたボストンの小学生たち
- MITのメディアラボで働く女性研究員
- バルセロナから留学してメディアラボに来ているスペインの大学生チーム
- シカゴのIIT Institute of Design (ID)に留学中の日本人社会人
- ハーバード大学の大学院(教育学)に留学中の日本人社会人
まずは「結局どうだったの?うまくいったの?」という疑問に応えるため、まずはアンケートを参照して参加者の声からご紹介することにしましょう。
-平均満足度
-タフツ大学CEEOプログラムに関して
-MITメディアラボでの女性研究者との会談
-日本人留学生との会談
-その他
Q. あなたの前に次回参加するかもしれない人がいたとして、どんなふうにツアーを紹介しますか?
- 自分の将来の可能性を広げるためにも、絶対参加した方がいい‼
- すべての経験があなたを形作って行きます。たとえ将来あなたがどんな選択をすることになってもここでの経験はきっと役に立ちます。学ぶためには失敗も必要です。若い今しか感じ取れない体験をしたいとは思いませんか?
- 理系でよかった、理系好きだって思えるチャンス!ツアーがおわってからもきっとつながっていられる仲間ができる。
- プログラムの仲間やアメリカの大学生、社会人と関わり、相手を知る事で、より自分を深く知る事ができると思います。普段向き合う事の少ない自分自身やその将来とプログラムを通して向き合うことで、将来やりたい事をアメリカで見つけられるかもしれません。
帰国後の成田空港で。
|