先日ハバタクよりリリースした法人向け新サービス「渡航型グローバルイントラプレナー育成プログラム」。背景にハバタクのどんな問題意識や経験の裏付けがあるのでしょうか。ハバタクの共同代表で、アジア統括の小原祥嵩(おはら・よしたか)にインタビューを行いました。
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★今回のリリースの背景について、聞かせてください。
新興国における新規事業開発には、現地市場の理解及び事業推進を担う人材の存在が不可欠です。
しかし、現地市場の理解に基づく事業創造の経験をもつ社員やノウハウが十分でなく、思うような規模・スピードで事業を推進出来ていないのが多くの日本企業の現状です。特に新興国市場での事業創造を担う人材は、未知の環境に飛び込み、自らの力で基盤を築き、新しい価値を創造する気概とスキルが求められます。
近年も多くの日本企業がアジアに視察に訪れていますが、現地でのネットワーク構築や現地理解が思うように進まず、ビジネス実行のスピードが伴わず歯痒い思いをしているのが現状です。そんな状態の日本人を見て「日本人はNATO=No Action, Talk Only」と揶揄されることがあるほどです。
今回リリースしたプログラムでは、成長戦略上の重要な市場に社員を送り、現地生活者目線での市場理解、短期間のアイデア創造、プロトタイプを用いたアイデアの検証を行い、新興国での事業アイデア創造のプロセスによって、新たな市場でのこれからの企業の成長を担う人材=イントラプレナーを育成することが目的です。
★新興国市場への日本企業のアプローチは、ここ数年でどのように変わってきていますか?
東南アジアへの日系企業の進出は依然として増加傾向にあります。企業の進出が進むほど、情報は集積し、コミュニティの中に経験も蓄積されていますので、そういう意味では進出のハードルは下がっていると思います。また、従来の生産拠点としてのアジアから、消費市場としてアジアを捉えた進出が増加してきました。現地の人向けのサービスやプロダクトを販売していくフェーズに入りました。これはつまり、今まで以上にその国の人の顔を見ながら、自分たちの過去の経験に縛られずに、新しいサービスやプロダクトを展開していくことが求められるということではないでしょうか。
★今回の「渡航型グローバルイントラプレナー育成プログラム」の注目すべき点はどこですか?
大きく3つあります。
1.臨場知獲得による消費者インサイトの理解
現地生活者・消費者へのインタビューやその生活圏の訪問・行動様式の観察を通じた臨場知の獲得により、マクロ視点や数値的観点では得られない現地の人々のインサイト理解を短期間の滞在で可能にします。
2.実践的かつ具体的な事業アイデアの創造
消費者インサイト基点の事業アイデア創造とプロトタイプを使った検証プロセスを経ることにより、短期間でありながら、市場のニーズを捉えたアイデア創出が可能です。
3.海外事業を担う人材としてのスタンスの獲得
現地生活者・消費者へのインタビューや、多様なバックグラウンドを持つメンバーとの共創プロセスを通じた、自らの力で現地との関係を構築し、事業を創造するという経験をすることにより、新興国での事業を担う人材に求められるスタンスを身につけることが出来ます。
★過去のプログラムに参加された方の反応は、どのようなものでしたか?
一番大きかったのは、大企業からの参加者のマインドセットが目に見えて変わったことでした。「3日ぐらいでマーケットを理解して、ビジネスアイディアができるはずがない」と初日に言ってきた方がいるぐらい、「ほんとにできるのか?」と多くの方が懐疑的でした。しかし最終日には、「こうやって顧客の声を聞いて、ビジネスアイディアをつくって、またその場でマーケットに確認しに行くということが3日でもできるということに対する実感が得られた」と言っておられて、私としても手応えを感じました。単なるスキルの獲得に留まらず、参加者のマインドセットの変革に貢献出来たことが一番の収穫です。そのように成長出来た社員の方は自身の持ち場に戻った後も自立的に成長・自社の変革に取り組むことができるからです。
経験上「こうでなくてはいけない」と思い込んでいた思考の枠組みから脱して、非日常な場で、直接顧客から得られるいろんなフィードバックという外力によって、その当たり前がぶち壊され、新たな学びのフェーズに入っていくことができる。それこそがハバタクの目指している「OSのアップデート」なのです。
★ハバタクの考える、新興国で新規事業開発を仕掛けていく人材に求められるものとは?
新規ビジネスの創造に向けて、新しい市場に乗り込み、現地と顔の見える関係を築きながら、起業家的に動ける人が出きてほしいと考えています。それは頭でっかちに、誰かがまとめた情報だけを見て「チャンスだ」というのではなく、その市場に実際に行って、自分で現地の人と関係を構築して、情報を収集して、具体的かつ実現可能なビジネスプランを打ち立てることができる人材です。それは海外市場に限ったことではなくて、結局日本でも同じですよね。
★プログラムに関する相談は、どうすればいいですか?
以下まで、どんなことでもお気軽にご相談ください。日数、内容、実施国など、ご要望に応じます。期間は概ね3日〜1週間、定員は3人〜30人程度までを想定していますが、これに限りません。実施国は東南アジアの国であれば、どこでも対応します。人材育成部門だけではなく、今すぐ機動力のある人材を必要としている新規事業・開発部門にもぜひ導入していただきたいプログラムです。